2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

キリンジ『For Beautiful Human Life』

EMIに移籍して再度冨田恵一と組んだ中期の傑作。冒頭の「奴のシャツ」から骨太のロックで印象を変え、2ndの「恋の祭典」と並ぶ名曲「愛のCoda」で必殺技のポップスを披露するという流れです。この2曲は本当に良く聴きました。 歌詞の世界が以前にも増してエ…

キリンジ『Omnibus』

02年リリースのセルフカバー&セルフプロデュース作品。こちらも基本的に地味な作品です。セルフカバー集はその後も『SONG BOOK』がありますが、キリンジというアーティストは楽曲提供が多いのも特徴です。 藤井隆に提供した「代官山エレジー」が密かに良い…

キリンジ『Fine』

世紀が変わって4作目。前作での成功を踏まえてここから少し渋くなります。半ば意図的に地味にしている感もありますが、シングルカットされた「雨は毛布のように」では熱烈なファンだというaikoがコーラスで参加しています。キリンジはミュージシャンの支持者…

キリンジ『3』

キリンジの最初のピークは恐らくこの3rdで訪れたんじゃないでしょうか。シングル曲が沢山入っていることもありますが、それまでのどこかマニアックな佇まいが世の中に対して開かれて来たような、そんな感触のある傑作だと思います。 代表曲にジワジワとなっ…

ムーンライダーズ『Dream Materializer PLUS』

最後は映像集です。『ANIMAL INDEX』発売時にビデオ化された映像に、『Don't Trust Over Thirty』時のテレビ出演映像、かつ10年飛んで20周年の際に岩井俊二監督で制作された「ニットキャップマン」をモチーフにした短編映像を追加した豪華版です。 まずは『D…

ムーンライダーズ『Don't Trust Over Thirty』

86年というムーンライダーズにとって怒濤の一年はこの10周年記念アルバムでほぼ幕を閉じたといっても過言ではないでしょう。鈴木慶一は鬱病が悪化し、かしぶち哲郎は入院してしまう。12人編成のスーパームーンライダーズでの強烈なライブ活動、その後5年間の…

キリンジ『ペーパー・ドライヴァーズ・ミュージック』

98年にリリースされたこの1stでキリンジには初めて出会いました。この強烈な老成。お気に入りはシュガーベイブとフィフス・アベニュー・バンドという鳴り物入りのデビューで、音は完全無欠なポップス。こんな人達がまだいるのか、という驚きと、日本のポップ…

リトル・フィート『Little Feat』

リトル・フィートを知ったきっかけはやはりフランク・ザッパでした。そもそもこの71年リリースの1stに収録され、次作で再録もされている「Willing」がザッパに独立を薦められた曲だったというのがバンド結成のきっかけになっているという話や、それ以前にザ…

リトル・フィート『Sailin' Shoes』

リトル・フィートの場合、次作の『ディキシー・チキン』からメンバーを拡充してファンキー度が増してからの方が絶頂期となっているので、この2ndや1stは前史として捉えられることが多いんですが、本作はやはりこのバンドの骨格となっている楽曲が収録された…

リトル・フィート『Feats Don't Fail Me Now』

リトル・フィートで自分が一番最初に聴いた作品はこれでした。74年リリースの4作目になります。これは最高! レコードでいえばA面にあたる冒頭からの5曲はいずれも名演で、「Rock And Roll Doctor」から既に卒倒ものです。ローウェル・ジョージのスライド・…

ムーンライダーズ『The Worst of MOONRIDERS』

86年という年はムーンライダーズにとって記念すべき10周年の年であったと同時に活動のピークを極めた時期でもあります。とにかく強烈な仕事量ですが、その中でもこの過去のライブのアーカイヴは特異な作品でした。はっきり言って後追い型の自分にとっては余…

ムーンライダーズ『T・E・N・Tレーベル 30th Anniversary MOONRIDERS IN T.E.N.T YEARS 19851986 』『ANIMAL INDEX』

ビートニクスに続いてムーンライダーズのTENT期の作品もボックス化されました。これは嬉しい再発です。 内容的には当時のオリジナルアルバム2作品とアーカーヴのライブ盤、更に映像集も付けて何と岩井俊二監督の『毛ぼうし』まで入っているという豪華仕様。…

ゴドリー&クリーム『History Mix Vol.1』

ゴドリー&クリームのアルバムで唯一持っていなかったのがこの変則的なベストアルバムです。 基本的に映像版が主役で、音については聴いたところで無意味かと思っていたのが理由ですが、やはり混沌は感じる。何故にこうした形態での作品としたのかその意図が…

リトル・フィート『The Last Record Album』

75年リリース。ここはやっぱりローウェル作の「Long Distance Love」で決まりでしょう。この曲もピーター・バラカンがよくかける曲です。渋い。 次作の『Time Loves A Hero』同様フュージョン色が強くなっているのはローウェル・ジョージ以外のメンバーが台…

リトル・フィート『Time Loves A Hero』

ローウェル・ジョージ実質不在の中制作された77年リリースの作品ですが、何気に良いアルバムです。勿論ローウェル作の「Rocket In My Pocket」は最高ですし、ピーター・バラカンもこればっかりラジオでかけていましたが、意外に「Red Streamliner」なんかも…

リトル・フィート『Waiting For Columbus』

78年リリースのライブアルバム。これはひとつの完成品を見せつけられている気がします。ほとんどキャリアのベスト盤ともいえる内容で、演奏の成熟度は半端ない。鉄壁過ぎて聴いている方が引いてしまう程です。 後期のリトル・フィートはフュージョン色が濃く…

リトル・フィート『Down on The Farm』

79年にリリースされたローウェル・ジョージの遺作。この作品をまともに聴いたのは大分後になってからでした。実質、前作のライブ盤でリトル・フィートは終わっていたと思っていたからですが、決してこの作品も悪くはない。「Straight From The Heart」も「Fr…

ソギー・チェリオス『Eels And Peanuts』

昨年リリースされたソギー・チェリオスの2nd。2枚目があるとは思っていませんでしたが、今後もビートニクスのように不定期に活動を続けていってくれるんでしょうか。 ほぼ直枝政広と鈴木惣一郎の二人ですべての楽器を演奏していることもあって非常にパーソナ…

コーネリアス『Constellations of Music』

昨年リリースされたコーネリアスのミックス集+自作曲3曲の作品。いわゆるCMシリーズの続編と見ることも出来ますが、自作曲が入っているのが少し異なります。自作といっても「Night People」はリトル・クリーチャーズのカバーだったりします。 コーネリアス…

奧田民生『comp』

消化試合のような05年リリースのミニアルバム。基本的にリフ一発のラウド系ですが、特にこれといった目玉曲もなく、印象も薄い作品です。 前作の『LION』が傑作だったので、今ここで何故にこの作品をリリースしなければいけなかったのか、当時は大いに疑問で…

奧田民生『E』

ラウドな印象が残る02年作品。「ヘヘヘイ」だけが突出しています。 次作の『LION』が非常にいい出来なので相対的に本作の粗さが目立ってしまいますが、必要以上に轟音で楽曲がついて行ってない。間に挟まるインタールードにも迷いを感じますし、全体としても…

奧田民生『GOLDBLEND』

90年代を過ぎてからの奥田民生は若干の安定感と失速、そしてメジャーフィールドで活躍しながらマニアックな音楽をポップなオブラートに包んで世間に届ける術を身につけて孤独な作業に没頭するに至る、という経緯を辿っていきます。2000年にリリースされた本…

奧田民生『股旅』

奥田民生はXTCとビートルズしか聴かないという話を聞いたことがありますが、さすがにそんなことはないでしょう。とはいえ、ビートルズの遺伝子を現代に引き継ぐ重要なアーティストであることは事実だと思います。 このアルバムはソロデビュー後の気負いも抜…

奧田民生『Failbox』

97年発表のミニアルバムですが、ここで奥田民生は吹っ切れたような気がします。非常にクオリティの高い作品で、必殺の名曲「それはなにかとたずねたら」が収録されている。もうそれだけで素晴らしいことです。 ソロデビュー後、他との交流試合も経て自らの立…

U2『Joshua Tree』

U2

U2は『War』だけ聴いていれば充分と思っていましたが、ふとしたきっかけで「Where The Streets Have No Name」を思い起こすことがあり、Apple Musicで聴いてみました。そこそこ良かったので今回中古で入手した次第です。 前作収録の「Pride」や本作収録の「W…

エミット・ローズ『Rainbow Ends』

エミット・ローズのことはレココレのパワーポップ特集でつい最近知りましたが、まさか新作が出るとは思ってもみませんでした。何と43年ぶりだそうです。恐ろしい時空の超え方ですね。 何といっても元ジェリーフィッシュのジェイソン・フォークナーとロジャー…

奧田民生『30』

この2ndでは「人の息子」と「悩んで学んで」という突出した名曲が際立っています。全体的にはアルバムとしてのトータリティにやや欠けるきらいがあって、緩急織り交ぜた印象を残す。かつ必要以上にエコーがかかった音像も没頭にブレーキをかけます。 しかし…

奧田民生『29』

奥田民生の作品にはハレとケが同居している感があります。どの作品もテンションMAXで全編を突き通すのではなく、インターバルが存在している。敢えてそのようにしているのかどうかは不明ですが、この1stもそうした感が強い。 キャリアを通して皮肉にも最大の…