2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Yellow Magic Orchestra『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』

YMO

初期YMOを代表する一枚。リリースは79年ですので、まだ80年代に突入していないというのが意外なところです。ディケイドの前兆は前年に起こる。従って今後も2019年が大事になる訳ですね。 全般的に坂本龍一色が爆発してきていますが、あくまで当時のディスコ…

Yellow Magic Orchestra『Yellow Magic Orchestra』

YMO

78年にこの1stがリリースされた時にはまだ世間でYMOの名は知られていませんでした。大抵の人が次作からキャッチアップしたかと思いますので、1stは後追い。そこで「ファイヤークラッカー」や「東風」「中国女」といった曲に接していくこととなる訳です。 し…

細野晴臣&ビル・ラズウェル『Interpieces Organization』

この作品は96年リリース。最早完全に細野晴臣に興味を失っていた時期で、直前に出た『ナーガ』もほとんど聴かずに売ってしまった程です。それ位アンビエントは敷居が高かった。自分の生活には不必要だったんですね。 しかし、そこから20年経って思うのは、既…

LOVE, PEACE & TRANCE『LOVE, PEACE & TRANCE』

このアルバムが出たのが95年初頭。今から20年以上前な訳ですが、『メディスン・コンピレーション』でこりごりしていた身にとって、アンビエントをコンセプトにした作品には手が伸びませんでした。一瞬、女性アーティストとのコラボレーションでポップな作品…

細野晴臣『メディスン・コンピレーション』

この作品を聴いていると「細野晴臣はここからよく俗世間に帰って来れたなあ」と思ってしまいます。それ位「あの世」感のある音楽。冒頭2曲の「Laughter Meditation」「Honey Moon」やドクター・ジョンもカバーした「Aiwoiwaiaou」といった聴きやすい楽曲もあ…

細野晴臣『オムニサイトシーイング』

89年リリースの本作は孤高の1枚。細野晴臣の80年代後半はノンスタンダードとモナドのテイチク時代。ここでのFOE絡みの活動はいささか常軌を逸していて、氏の骨折によってその狂騒の時代は幕が下ろされます。『SFX』から5年を経てリリースされている本作の、…

細野晴臣『S-F-X』

YMO散開後の次の一手として差し出されたこのアルバムを皮切りに、細野晴臣はその後しばらく続くOTT、Over The Top、すなわち過剰な音楽を標語として掲げながら急速に回転していき、そして息絶えるという顛末を辿ります。この時期の音楽性に疑問を呈する向き…

細野晴臣『フィルハーモニー』

砂原良徳が言うように、YMO活動時の各メンバーのソロ作で細野晴臣だけは『はらいそ』まで遡らなければならなかった(あるいは共作名義での『コチン・ムーン』)ため、知らない人に説明がし辛かったことを思い出す、82年リリースの傑作です。 聴いた当初はポ…

cero『街の報せ』

小沢健二と一緒に遅ればせばがら手にとったceroのシングル。タイトル曲のリズムのずらし方、メロディで遊ぶのではなくてリズムでハッとさせるという技を使っています。日本のポップスはここまで来ました。90年代では渋谷系が唯一気を吐いていたけれど、今は…

ライ・クーダー『Borderline』

ライ・クーダーの渋さに気付いたのは大分後になってからのことですが、きちんとオリジナルアルバムを聴いていって残すは最新作と1stくらいになりつつあります。各国のルーツミュージックに挑んで、その融合の美しさ、今回でいえば国境での文化の混ざり具合に…

カーペンターズ『Now & Then』

カーペンターズの捉え方というのはソフトロックの一形態であり、作家陣も含めて楽曲のコード感やストリングスアレンジの流麗な響きを味わうといったところに醍醐味があるように思います。端的にヒットシングルも豊富にあるし、聴いたことのない曲も既視感が…

細野晴臣『はらいそ』

細野晴臣のトロピカル3部作のラストを飾るYMO序章の78年作品。ここでの締念はとてもロマンチックで、ここではないどこかへ逃れたいというパラダイス願望がとても素敵な形で音になっています。 「ファム・ファタール」で初めて坂本龍一と高橋幸宏との3人でス…

細野晴臣『泰安洋行』

非常に特殊な音楽ですが、これが後のYMOの原形になる考え方であり、この時点で早過ぎた覚醒と頂点を極めた傑作であると断言できる作品です。 ニューオーリンズと沖縄、また世界のどこでもないエキゾチック趣味、日本を海外から見た時のイメージを逆利用して…

細野晴臣『トロピカル・ダンディー』

トロピカル・ダンディの名付け親は久保田麻琴さんなんだそうです。 細野晴臣の75年リリースのこの2ndは大滝詠一の『ナイアガラ・ムーン』と双璧をなす開拓者精神溢れる作品です。遡って聴いた際に最も印象に残ったのは冒頭の「チャタヌガ・チュー・チュー」…

細野晴臣『HOSONO HOUSE』

細野晴臣が世紀を超えてこの1stアルバムの曲をライブで演奏する日がやってくるなんて、最初に聴いた時には夢にも思いませんでした。ひとつのルーツ・ミュージックであり、細野晴臣の印象を決定づけたアルバムで、その後の変貌も含めて原点といえる作品。和製…

トッド・ラングレン『Liars』

このアルバムを聴き直したのはライブ映像で本作収録曲の「past」が演奏されていたからです。これはなかなかいい曲だな、と思ってその所在がしばらく分かりませんでした。こんなところに隠れていたとは。その位思い入れのないアルバムですが、経緯としてはレ…

スネークマンショー『海賊盤』

いつ聴いても面白いなあ。スネークマンショーの『海賊盤』は当時カセットのみでリリースされて、本当に何度聴いたか分かりませんが、何といっても当時は中学生。YMOから始まってこうしたサブカルチャーについても子供の耳に確実に情報は届いていた。今と違っ…

フランク・ザッパ『Road Tapes Venue #3』

『Road Tapes』シリーズの第3弾が出ているとは知りませんでした。Amazonからレコメンドが来て初めて気付き、思惑通り1clicした次第です。 70年の録音ということで、フロ&エディ参加時のメンバー初期となります。ジョージ・デュークやエイズリー・ダンバー…

トッド・ラングレン『One Long Year』

トッド・ラングレンの節操のなさというのは、いい意味でいえばマルチな才能と表現することも出来て、70年代の初頭にはそれがひとつの魅力でもありました。しかし、作品として世に出していく際に、例えばフランク・ザッパのように多作で、かつ様々なライブ音…

トッド・ラングレン『With A Twist』

もうCDでは新作を出さないと宣言した舌の根も乾かぬうちにリリースされたボサノヴァのセルフカバーライブ。一体あの宣言は何だったのか。それともセルフカバーでライブだから別物なのか。様々な憶測を呼びましたが、普通にその後も新作が出て行くので、単に…

トッド・ラングレン『Up Against It』

97年の発売当時、これがCDとしてリリースされる最後の作品になるという触れ込みで世に出されたアルバム。実際はそうはならなかった訳ですが、結果的にミュージカルのためのオペラアルバムとして特殊な位置づけの作品として地味にその名を残すことになった作…

トッド・ラングレン『The Individualist』

95年にリリースされたトッド・ラングレンのインタラクティヴ・ミュージック第2弾ですが、印象はとても薄いものになっています。前作の『No World Order』で大分気持ちが離れてしまったので、御大ご乱心の続編という風にしか捉えられませんでした。 前作より…

松本隆『風街であひませう』

40代も後半になると仕事の仕方が変わってきます。長くやっていれば自然と知り合いも増えますし、かつての経験がお互いに知織化されているので、大体仕事を頼む時におおよそのイメージが湧く。 はっぴいえんどのかつてのメンバーに仕事を頼むことで、バンドで…

ゲイリー・ニューマン『I, Assassin』

先日レコード屋の店頭でかかっていた作品。丁度ミック・カーンを見ていたので、「これは一体何だ」と確認しました。最初はデヴィッド・ボウイかと思ったんですが、音の質感から時期的に考えてもこんな作品はなかったし、余りにもベースがミック・カーンに酷…

ポール・マッカートニー『Tag of War』

ポールの作品を買うのはもしかしたらこれが最後かもしれません。ポールを含めたビートルズ関連の音楽は好きなんですが、没頭できないのは何故なんでしょう。あまりにもスタンダードだからか、それともまだ聴き込みが足りないのか、よく分かりませんが何とな…

トッド・ラングレン『No World Order』

御大の実験精神は70年代から脈々と続いていて、ここにも『Initiation』のB面すべてを使ったインストや『A Capella』でのサンプリングによる音の構築といった要素が窺えます。しかしながら、これはやっぱり企画倒れだし、時代の先を読み違えたアプローチだと…

はっぴいえんど『ライヴ!!はっぴいえんど』

はっぴいえんどの解散コンサートは実質次の活動のお披露目の場を兼ねていて、既にナイアガラやキャラメル・ママといった要素が包含されています。従って、ここでの演奏は終止符であると同時に出発地点でもある。かつゲストメンバーとしてひっそりとその名を…

トッド・ラングレン『2nd Wind』

前作『Nearly Human』の続編にあたるライブレコーディング作品。同様の手法はジョー・ジャクソンなんかもやっていますが、観客にも恐らくは緊張感を強いるものなのではないかと思います。拍手とかできないでしょうから。 正直言って冒頭の「Change Myself」…

トッド・ラングレン『Nearly Human』

88年にトッド・ラングレンのベアズヴィル時代の一連の作品がCDで再発された時期がありました。その時は来日もして、自分も少なからず衝撃を受けたんですが、この作品はその翌年にリリースされたもの。タイトル通り、生演奏を主体にしたアルバムで、その後の…

はっぴいえんど『HAPPY END』

会社に細野晴臣みたいな人がいて、これが様々なプロジェクトを立ち上げては次、と繰り返すんですね。天才肌なんだけど、信用してついて行くともうそこにはいなかったりする。結果的にマネジメントとしては成功しない訳ですが、アウトプットの質にはこだわる…