ボニー・ピンクBEST

 ずっと気になっていたボニー・ピンクのベスト盤を新宿のディスクユニオン中古センターで見つけた。何と新品ケース傷アリで4割引という安さで、ほぼ半額で購入。聴いていたらこれがまたいい。

 ボニー・ピンクといえば「犬と月」の印象が強く、ピンク色の髪で歌っていた映像が今も印象に残っているが、トーレ・ヨハンソンに接近したアーティストということで原田知世と共に気になっていた存在である。トーレ・ヨハンソンの弟子にプロデュースしてもらったという「So Wonderful」は非常にキャッチーで、ここ最近のセンスの良さを表していたが、一体彼女は何者なのだろう。

 TV番組に女優と共にさりげなく出演していたり、Popsというジャンルに妙なこだわりを抱いていたり、と不思議なスタンスで活動している人だ。彼女に重なるのは会社にいる働く女性達の姿だ。眼が似ている。きっと強い人なのだろう。強い女性はジェンダーとしての自らの役割を男性と別のところで持っている。しかも、ことさらに女性であることを主張せず、自らの性を適切な形で仕事に当てはめていく術を持っているように思う。女性のエキセントリックな面は、ならではではあるが時に邪魔でもあるので、このあたりをコントロールできる人には素敵な人が多い。

 ということで、非常に良質かつ独特のポジションで活動する稀有なアーティストだと思う。