ビーチ・ボーイズ レビューVol.2

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続いて「ペット・サウンズ」と「スマイリー・スマイル」。前者は言わずと知れた名盤。果たしていつ最初に聴いたんだろう、と思い探してみたらアナログレコードを発見。ということは89年のCDと合わせて3枚持っていることになる。

きっかけも忘れてしまったが、恐らく80年代中盤に購入したのだろう。大学の初め頃かな。美しい印象は今も変わらない。今回の音はドラムが良く聴こえる。

昨日も書いたとおり、ペット・サウンズはその後の再評価の波が凄まじく、フリッパーズ・ギターの「ヘッド博士の世界塔」では「ゴッド・オンリー・ノウズ」のイントロがそのまま使われたりしている。これは当時唖然としたものだ。

でもやっぱり、純粋に曲が良いので、マニアの産物にするより広く聴かれるべきタイトルだと思う。そういう意味では「フリッパーズの1曲目のイントロの曲がこれだよ」と紹介するのもありだし、実際きっかけは何でも良い。「ゴッド・オンリー・ノウズ」は本当に素晴らしい曲で、エンディングのコーラスの絡みなどは鳥肌ものだ。なおかつ悲しくなるのがいい。

よくよく考えてみれば、多くのスタジオ・ミュージシャンを使って楽曲を構築していく手法はまるで後のスティーリー・ダンみたいだ。

スマイリー・スマイルもアナログで持っていたが、次作「ワイルド・ハニー」との2in1CDは今回売ってしまった。やっぱり単独で楽しみたい。

この作品は実験的色合いが強いし、当時未完に終わった「スマイル」との関連性抜きには語れないが、端的にカッコいい作品だと思う。「英雄と悪漢」や「シーズ・ゴーイン・ボールド」などPOPな毒が散りばめられている。基本的に断片的なフレーズを繋いでいくような印象もあるので一見散漫だが、その断片自体が美しいので結果は毒の連続となる。

これを聴いた後にピンク・フロイドの1st「夜明けの口笛吹き」が聴きたくなった。ということはやっぱりサイケデリックなんだろう。ブライアンもシド・バレットもドラッグ中毒だし・・・。隙間のある音も共通点だが、何より双方とも1967年の作品だった。Love&Peaceの裏側で起こっていた地味な作品集はその後長く生き続け、遂にはブライアン・ウィルソン名義での「スマイル」の完成に至るが、その整理された美に比べて本作の混沌とした美は鋭角的なカッコよさがある。