三浦展 「新人類、親になる!」

わけあって新人類について調べている。三浦展はご存知の通り「下流社会」の著者だが、本書は10年前に出版されたもので既に絶版。amazonで中古を購入した。

三浦展はかつてグループのメンバーをセミナーに行かせたことがあるが、その時の感想は惨憺たるものだった。確か女性をいくつかに分類して論じたことに対する違和感と、単純なマーケティング批判だったように記憶している。マーケティングの負の部分に触れたり、表層的にしか理解しないで話のネタにした場合、多くはマーケティング不信に陥る。

とはいえ、この本は非常に問題がある。特に後半は新人類についてあまり触れられておらず、また非常に個人的な感情論が横行する。文体も急に口語体になって、前半のデータに基づく論考が消え失せてしまっている。サブカルチャーあたりの章は見るに耐えない。この辺りがこの著者のアキレス腱なんだろう。

三浦展はもともとパルコの人だが、王様も元パルコとは知らなかった。かつてパルコは文化事業に手を染めていたそうで、多くのサブカルチャー人脈がパルコを早期に退職した人で築かれているといった記述は興味深かった。いわゆるセゾン文化というものの象徴的出来事だろう。

ということで、この著書から新人類は見えない。また探さなくては・・・。仕方ないなあ。