88年作のスクリッティ・ポリッティ3作目。一世を風靡した『Cupid & Psyche 85』は12インチシングルが出る度に坂本龍一のサウンドストリートで紹介され、その音の良さに度肝を抜かれる連続だった訳だが、2匹目のドジョウを狙った本作はさして話題になることもなく、その後フェイド・アウトしていった。
ロジャー・トラウトマンが参加していたり、マイルス・デイヴィスがトランペットを吹いていたりと面子は豪華だが、確かにその後の前進は感じられない。『Cupid & Psyche 85』は最近でも再評価の波がジワリと押し寄せているが、本作についてはまるで歴史から抹消されたような扱いだ。
で、聴いてみると悪くはない。前作のアウトテイク集のような振る舞いで、同じ道を歩んでいる。キラーチューンに欠けるのが痛いところだが。
その後また最近驚くべき復活を遂げたスクリッティ・ポリッティだが、80年代を底辺で支えるきらびやかなクオリティは、意外な程古びないで当時の記憶をしっかりと時代に刻印している。因に中古で500円。