75年発表の5作目。前作の『銀色の朝』では冒頭からヒスノイズが目立ったが、このアルバムは急に音が良くなる。スティービー・ワンダーの『クリーピン』のカバーから始まるが、一様に音が整ってきていて、クオリティで押してくる感じ。
それにしても捉えどころがないアーティストだ。温かいボーカリストのアルバムといえばそれまでだが、それだけではない質感が隠れている感じがする。つまり、普通のAORであれば耳を通り過ぎてしまう訳だが、どこかで引っかかるものがあるということ。それはメロディであったりアレンジであったり楽器であったりする。
音が整ってきた分、渋さも増しているので、味わうには時間を要するアルバムだ。