大村憲司『春がいっぱい』

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こちらもアンコールプレス。瞬く間に売り切れそうだったので、「ここで買わないとまた10年くらい後悔しそうだなあ」と思い、在庫のありそうなディスクユニオンで購入した。

これも当時貸レコード屋で借りて聴いた。YMO全面参加ということで期待したが、そこに当時の鋭さはなく拍子抜けをくらった記憶がある。やっぱり地味なんだよね。それでしばらく遠ざかっていたが、今聴き直してみるとやっぱり発見はある。

本作が発売されたのは1981年の2月で、矢野顕子の『春咲小紅』、スネークマンショーの『急いで口で吸え』と同月。その翌月にはYMOの『BGM』が発売されており、絶頂期の頃といっていい。高橋幸宏は『ニウロマンティック』、坂本龍一は『左うでの夢』を録音する直前の時期だった。ちなみに同年11月にはビートニクスの『出口主義』も発売されている。

その辺りの要素がこのアルバムにも見え隠れしている。3曲目の『Seiko Is Always On Time』は坂本との共作だが、これなんか高橋幸宏の『Flashback』のイントロみたいだ。(坂本龍一の提供曲。曲になる前はラーメンのCM曲に使われた。)8曲目の『Inaudible』はYMOの『磁世紀』そっくり。9曲目の『Maps』はYMOのツアーでも演奏されたそうだが、高橋幸宏のソロみたいだ。イントロはデヴィッド・ボウイの『アシェス・トゥ・アシェス』みたいだが、全体的にはビートニクスの音に近い。

ということで、聴き所が意外に多くてびっくりした。部分的には第一印象に近い部分もあるので「名盤」とまでは言わないが、人気が高いのも頷ける内容ではある。買っといて良かった・・・。