75年発表のThe Band 7作目。これは以前JANISで借りて聴いた。
抑制されてクリアになった音像は初期とは異なるが、曲は良い。テッド・テンプルマンにプロデュースされたキャプテン・ビーフハートの『クリアー・スポット』みたいだ。勢いや混沌は薄れたが、スピリットは残っていて味が出てくるようなアルバム、といった感じか。
ロビー・ロバートソンの独壇場で解散前夜といった雰囲気も漂うが、発表時点ではその内容の充実ぶりにファンは狂喜乱舞しただろうし、一抹の寂しさも覚えたことだろう。ロビー・ロバートソンがプロデュースしたハース・マルティネスのアルバムなんかを聴いてもこの時期の充実ぶりは明らかで、洗練された方向に向かいつつあることがよく分かる。
リマスターの音は幾分抑え気味で左程の音圧はない。ボーナストラックも2曲とコンパクトでいい感じだ。「名作」とまで騒ぐことはないが、繰り返して聴くに耐えうるクオリティ。