フランク・ザッパ『Shut Up'n Play Yer Guitar』

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『黙ってギターを弾いてくれ』という81年リリースのザッパギターソロパートのみを集めた強烈な3枚組。6300円という凄まじい金額で破産寸前だ。オリジナル仕様の3枚組で再プレス。やっぱり、こうした濃いアルバムは35分程度で一息つきながら聴かないと失神してしまう。

最初に耳にしたのはFM番組での『Shut Up'n Play Yer Guitar Some More』だったと思うが、リズムが展開につれて変わっていく上に延々とギターソロが続くジャズみたいな曲に目眩がした記憶がある。「一体この人は何者なんだろう」と思って集め始めたのがきっかけで、最早地獄へ真っ逆さま。何十枚もアルバムを出している人だとは思わなかった。

学生時代にこのアルバムをカーステでガンガンかけながら窓を開けて運転していたら、友人から「頭が痛くなる」とクレームを頂いた。この良さが分からないなんて、なんて不幸なんだろう、と思っていたが、普通そうだよな。

白眉は2枚目だと思うが、1枚目の冒頭から畳み掛ける強烈な演奏は耳を捉えて離さない。表題曲は各ディスクに3パターン納められているが、『Gee I Like Your Pants』と合わせてすべて『インカ・ロード』のソロパートだそうだ。なるほどそうだな。2枚目の『Canarsie』ではパトリック・オハーンのベースが、『レザー』でも一部が使われていて発売当時驚愕した『Ship Ahoy』でテリー・ボジオのドラムがうねっている。大半のドラムはヴィニー・カリュータで基本的にかっこいい。ヘビメタ好きの友人もまずはドラムのかっこよさに言及していた。当時はよくカーステでかけてたんだな。迷惑な話だ。

おすすめは『five-five-FIVE』『Gee I Like Your Pants』『Canarsie』『Ship Ahoy』『Beat It With Your Fist』それに表題曲3曲といったところ。沢山あるなあ。『Hog Heaven』も『Why Johnny Can't Read』もいいよ。

その後、こうしたギターソロ集としてその名も『Guitar』なる2枚組も出ているし、死後『Trance-Fusion』も発売されているので、こうした形態はすっかり定着しているが、それはあくまでザッパの中での話。普通こんなアルバム出さないって。恍惚の大作だ。