プリンス『MPLSOUND』

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3枚組の2枚目は80年代に逆戻りしたかのようなサウンドだ。ドラムの音がまずそう。カタカタいう感じは『Sign of The Times』や『Parade』の頃みたい。曲調もそんな感じで、懐かしさすら感じる。本人の王道なんだろう。P-FUNK調だしね。意識的にそうしてるのか、昔のストックを持ち出してきてるのか。でも曲がいいからいいか。

吹っ切れた明るさは驚異の3枚組『Emancipation』にも通じる。自由に作ると自然とこうなっちゃうというのが可愛い。『Dance 4 Me』とか『U're Gonna C Me』『Ol'skool Company』なんかは昔の曲と言われても分かんないだろう。いい曲ですよ、でも。

1枚目はギターサウンド、2枚目はエレクトリック、ということだが、通して感じるのは強烈な安定感。安産が約束されている妊婦のようだ。メジャーからの配給ではなく自分で制作したから機材が古いのかな。そういうことなら音が戻っているのは理解できる。逆に古いファンを喜ばしてしまうという。定番の魅力は後世に残るから、これはいいことなのかもしれない。特にこの2枚目はドラムの音と一緒にキーボードの音の古さが耳に残る。

因にジャケットなんかはチープで、いかにもTARGETで置いてありそうな消費財的なもの。この辺もコストのなせる技だが、業界へのアンチテーゼで成り立つこのタイトルが売れるかどうかで今後の活動方針が決まってくるだろう。さすがにすぐ跡がついちゃったりしてどうかとも思うが、要は曲がいいんだからいいでしょ、というメッセージなんだろう。ちょっとノスタルジックだけど。