青山陽一『SONGS TO REMEMBER』

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メジャー移籍時に出た青山陽一のベスト。当時はアルバムはすべて持っていたので買わなくてもいいや、と思っていたが、最近あまりにも聴いているので、少し探してみた。そしたら中古屋で780円で置いてあったので、迷わず手に取った。全曲リマスタリングで本人解説付き。

99年に『SO FAR, SO CLOSE』で驚きのメジャー移籍を果たした青山陽一との出会いはやはりメトロトロン・レコードでのグランドファーザーズだった。ムーンライダーズ関連でマスト・アイテムだったのはカーネーショングランドファーザーズな訳だが、バンド活動中に出た青山陽一の1stソロ『AOYAMA YOICHI SINGS WITH THE BLUE MOUNTAINS』はまず1曲目の『God Press You』でのソウル風味に意表をつかれた。グランドファーザーズではカントリー風の軽快なロックだったので、また違った側面を持つアーティストなんだな、と感心したが、全編を通して聴くと非常に爽やかで、心地よかった記憶がある。1stからは『MOUNTAIN』『SWEET KILLED MUSIC』『水に浮かぶダンス』が収録されている。全部いい曲。

2ndの『HOME FEVER』の魅力に気付いたのは大分後になってからだが、よりソウルフルでファンキーな宅録、という感じで特に前半が大好きだ。

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これは2曲目の『スマイルの最中で』のライブ。この曲が一番好きかな。でもこのベスト盤には入ってなくて、代わりに『新しいアイディア』(これも好き!)『地底へGO』『SEED SONG』のライブ・バージョンが入っている。

3rdの『one or six』は地味~にリリースされて、活動大丈夫?と不安になったのを思い出す。内容も当時はあまり響いてこなかったが、今聞き返すと移籍後の活動に直結する要素が出始めていることが分かる。通勤電車で一生懸命掘り起こしています。

4thの『Ah』は思いっきり再評価中で、ここんとこのヘヴィー・ローテーション。出た時はやっぱり地味に聴こえたし、音の雰囲気が暗めのロックという感じだったのでとっつきにくかったが、本作にも収録されている『BLOODY APPLE SONG』は当時から好きだった。後になって考えてみれば、メジャー移籍後の『SO FAR, SO CLOSE』のテイストは『Ah』から継続しており、一方は明るくポップで一方はジャジー・テイストというだけの表裏一体のアルバムだったことが分かってきた。このアルバムは好きになりましたね、最近特に。

初期4枚の中でのおすすめはやっぱり1stかな。明るく爽やかな中に毒が隠されていて、瑞々しい。カーネーション直枝政広プロデュースでムーンライダーズ鈴木博文も深く関わるこのアルバムで90年代は始まった。その後、こんなに息の長いアーティストになってくれるとは。非常に嬉しい事実。