ザ・ビートニクス『出口主義』

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しばらく前に高橋幸宏のベスト盤が出た時に、鈴木慶一と二人で内容を紹介するFM番組が放送された。そこでアルファ盤の解説を書いた砂原良徳がゲストで来て、何と自分の機材でリマスターしたこのアルバムのCDRを本人達に渡して喜ばれていた。そんな感じでリマスター再発が望まれる絶頂期81年リリースの1stで、つい先日もアナログで聴いていたところだった。サクッと中古屋にあって安かったので、来るべき再発までの繋ぎとして購入。ジャケットも簡易版だしライナーもシンプルでつくりに愛情がないのでガックリくるが、仕方ない、600円だもんね。

聴いた当時はそのヒリヒリした感触に難解さを覚えたし、正直ムーンライダーズもあんまりよく知らなかった。確か二人は飲み屋でたまたま居合わせてその後意気投合、みたいな話だったと思うが、基本的にビートニクスは時代への怒りが発生した時にしかアルバムを出さないということで、これまでオリジナルでは3枚リリースがある。(サントラも含めれば4枚。)2ndが驚く程ポップなので面食らったが、この1stは今聴いてもカッコ良くて、音色も含めて唯一無二な作品だと思う。当時B面を良く聴いた。『Mirrors』と『L'Etoile de Mer』が好きだったなあ。どっちも鈴木慶一の曲。この後ムーンライダーズにはまっていった訳で。

『Inervitable』の高揚感は何かとリフレインされるし、シングルのみ発売のボーナストラック『River In The Ocean』もならではの旋律でとても良い。高橋幸宏も甘くなる前のヒリッとした頃の曲群が美しい。リズムも多彩だし音の選び方も繊細ですよね。一見とっつきにくいけど非常にポップなアルバムだと思う。何つっても『詩人の血』から始まるんですから。

それにしても約30年前ですよ。