ザ・ビートルズ『Please Please Me』

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予約していたビートルズのステレオBOXが届いた。14枚組という圧倒的なボリューム感。なかなか聴く時間がとれなかったが、やっと1st。32分しか収録時間がないのに不思議と長く感じるのは密度が濃いからだろう。1曲2分くらいの中に物語が凝縮されている。

ビートルズを初めて耳にしたのはセサミ・ストリートのBGMとしてだった。子供の頃NHKでやっていたのを英語好きの母から見せられていた訳だが、やっぱり一瞬で耳に残るフレーズを奏でていた。でも英語は身に付かなかったし、ビートルズにはまる訳でもなかったので、あくまで娯楽として楽しんでいたんだろう。

その後、音楽を聴くようになってからは、超メジャーな存在に背を向けていた。「ビートルズがすべて」といったような語り口にあえて反発していた。メジャーなものは薄口だと思っていた訳だ。それを改めたのはFMで『ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー』と『トゥモロウ・ネヴァー・ノウズ』を聴いてからだ。ビートルズというのはこんなに前衛的でかっこ良かったのか!と遅まきながら驚く。そこから徐々に中期と後期に手を伸ばしていった。でも初期はリマスターまで待っていたんだ。考えてみれば自分の好きなXTCトッド・ラングレンのルーツにビートルズが燦然と輝いてる訳で、聴かないのは不自然というものだ。

ということで1stは初めて聴く訳だが、最初から洗練されている感がある。荒削りというより落ち着きを感じる。それはきっと坂本龍一も言っていたようにコーラスワークにあるんだろう。ジョージ・マーティンの手腕がなければビートルズはここまでの存在になっていないはずだ。綺麗だもの。

巷で言われている左右にボーカルと楽器の音を振った疑似ステレオの違和感もあまり感じなかった。そんなに極端ではないもんね。MONOバージョンを聴くとそれはそれで驚くんだろうが、残念ながらそこまで財布に余裕がない。これで充分だ。逆に中期のタイトルはその極端さが気に入っていたりする。

ジョージやリンゴがリードボーカルをとる曲が既にあったりして、全員のマルチぶりもアピール。『I Saw Her Standing There』が1曲目というのも知らなかったので新鮮だ。『Baby It's You』や『Twist And Shout』も入ってるんですね。気付けば知ってる曲が結構多い。それだけ自然と耳にしてるんだよなあ。