3年ぶり。カーネーションの新作。３ピース以降のカーネーションは絶好調だが、前作を最後にドラムの矢部浩志が抜けてしまったので今は2ピース。それでも先行シングルの『ジェイソン』は期待に違わぬ傑作だった。
初回盤はPVの入ったDVD付。ちょっと高いけどこれも入ってるからね。買いですわな。カッコいいよなあ。ディスクユニオンではメンバーのアルバム解説が入ったCD-Rが特典で付くので、こちらで購入。
アルバムの質感は時間を置いてかつメンバー脱退という苦難も乗り越えた割には、というよりだからこそかもしれないが驚く程安定している。熟成された陶器のようだ。それでも何が何でも前に進むという姿勢が凄い。ここ最近の諸作では『SUPER ZOO!』がポップかつメロウで好きだが、『この悲しみ』なんかはその路線で少し嬉しい。逆にタイトル曲の『Velvet Velvet』なんかは少しダルに進む感じでインパクトは多少弱めに映る。
『エレキング』に顕著なように80年代初頭のXTCの雰囲気を今回再度蘇らしたような意図もあるようだが、展開一発の感覚をスタジオ録音盤で構築するのは勢いと意志がないとできないだろう。ここへ来てこの状況でそれを持続するのは並大抵ではないと思う。尊敬します。
後半の『Songbook』なんかもいいなあ。気合いが入っている割には軽やかな物腰。この辺が結構真骨頂で、ソウルに傾倒していた頃のカーネーションはとってもグルーヴィーだった。今回その辺の諸作も大量のボーナストラックと共に再発されるので、いずれチェックせねば。ああ、もう追いつかないなあ。日々生きていくことの辛さを受け止めた上で更に突き抜けていく、その踏ん張り具合と志に励まされる。
ラストの『遠い空 響く声』もいいね。遥か彼方を見据えるようなこのパターンの曲もたまに顔を見せるタイプだが、哀愁が漂うのがいい。マスターピース作ってるなあ。残していく記録に迷いがないように見える。繊細な確信。
