プリファブ・スプラウト『Andromeda Heights』

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先日出た新作があまりによかったので、97年リリースの『アンドロメダ・ハイツ』も聴くことにした。時間軸では先日の『Let's Change The World With Music』の方が先に作られて、お蔵入りになり、その後7年のインターバルを置いてリリースされたのがこの作品、ということになる。

アンドロメダ・ハイツ』という題名にまずはグッとくるが、内容は前作『ヨルダン・ザ・カムバック』と比べるとシンプルになってきている。派手なフィル・スペクターへのオマージュといった趣の曲もあるが、基本はメロディアスで美しい。

 

もはやバンドの形態をギリギリ維持しているような、ほとんどパディ・マクアルーンのソロといった時期のこの6作目から漂う質感は一定のクオリティとその後も揺るがない美観が貫かれていて気持ちがいい。ウェンディ・スミスの透明感のあるコーラスは最早ほんの少ししか入らないが、ブライアン・ウィルソンが綺麗に磨かれたようなそのサウンドは永遠をものにしている。恐らく発売当時に聴いていたら地味で聞き逃していたような部分も、『Let's Change The World With Music』を経た後ではじっくりと聴き込める。トーマス・ドルビーから離れてセルフ・プロデュースとなったことも、結果として普遍性を手に入れているように思う。