アニー・ハズラム『不思議の国のアニー』

f:id:tyunne:20181014090933j:plain

絶対いいに決まっているアニー・ハズラムの77年作1stソロ。3年くらい探していたが、中古屋にサクッと置いてあったので15分程迷って購入。ちょっと高かったが、ここで買わないとまた10年後悔するからなあ。

アニー・ハズラムという人はルネッサンスというプログレ・グループのボーカルの人で、以前ビートクラブのLDでその姿を見たことはあった。クラッシックの要素を取り入れたジャズ・ロックといった趣で、それそのものには余り興味はわかなかった。大事なのはこの当時ロイ・ウッドと付き合っていたということだ。そのため、このアルバムもロイ・ウッドが全面的にプロデュースを担当していて、曲も書いている。

77年前後といえば、ロイ・ウッドの作品で言うとWizzo Bandや『On The Road Again』を出していた頃。先般ファンの熱意が通じて再発されたが、ロイ・ウッドが最後の輝きを放っていた頃の作品で、いずれも傑作。MOVE、ELO、Wizzardと立ち上げてきたバンドがどれも珠玉のポップスを奏でていたことを考えても、この時期のプロデュース作品は悪いはずはない。しかも自分の好きな人のアルバムをプロデュースするんだから。

 

高音を活かした3オクターブ・ボーカルはプログレを彷彿とさせる瞬間もあるが、ロイ・ウッドのバックトラックがその素材をあくまでもポップに仕上げる。少し『ボールダーズ』に近い感触もあるが、基本は70年代後期のロイ・ウッドの曲調だ。

7曲目の『Inside My Life』はキリンジのラジオ番組でかかったんじゃないかな。ロイ・ウッドのペンによる曲ではないが、アレンジはまさにロイ・ウッド節。いいなあ。必殺仕事人みたいに期待を裏切らない展開。ないぞ、捨て曲が!買っといて良かった。

ラストはドヴォルザークの『新世界』から『家路』をカバーしているが、これは「もう日が暮れたから帰ろう」と言われているようで、クラッシック云々というより子供の頃の日常を想起させる。