『ベアズヴィル・ボックス』

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96年に出てその後廃盤になっていたベアズヴィル・レコードのボックス・セットが奇跡の再発!探したなあ、これも。出た時は「トッド・ラングレンは全部持ってるからいいや」と見過ごしていたが、その周辺の音楽が軒並み収録されていて、レコード・コレクターズの当時の記事を読む度に、「ああ、やっぱり聴きたい」と思ってはや10年以上。晴れてSHM-CDでの再発となった。いや、目出たい。オークションで無理して買わなくて本当に良かった。

4枚組のボリュームで、1枚に20曲くらい入っているので、ディスク1の収録時間は79分もある。これは聴きごたえがありそうだ。しょっぱなから出てくるのはトッド・ラングレン初プロデュース作のアメリカン・ドリームというバンド。名前だけは聞いてはいたが、69年の作品なんですね。バッドフィンガーの3rd『ストレート・アップ』もトッドのプロデュースだが、その辺りやトッド自身の初期ソロ作にあるような独特の雰囲気が味わえる。トッド・ラングレンを好きになったことで、こうしたウッドストックサウンドの扉を開いてもらった訳だが、日本でいうティン・パン・アレイのようにその時期の空気を音に閉じ込めているような一定の統一感を感じる。

1枚目はトッド・ラングレンの曲も多くて7曲も収録されている。その他、プロデュースやエンジニアを担当した曲も含めるとかなりの数だが、ロビー・ロバートソンやエリック・カズなんていう名前もクレジットに見受けられる。ジェシ・ウィンチェスターや初期スパークスの名前もある。今まで断片的に聴いていたものがこうして集まると、その質感をトータルで味わえてとても快適。お蔵出しの曲も含めてマニアックな内容に関する突っ込んだ知識はないが、当時の雰囲気を味わうものとして素直に楽しめばいいんじゃないかと思う。トッドの曲は『I Saw The Light』や『Hello It's Me』といった比較的有名どころが収められているしね。

さて、2枚目以降もゆっくり味わってみますか。