はちみつぱいLIVE BOX disc 8

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74年11月の解散コンサート。さよならロックンロール少年、ロックンロール少女。有名なこの台詞は残念ながら収録されていない。

まず音がいい。ベースが随分鳴っている。オープニングはかしぶち哲郎のソロで『紡ぎ歌』。その後は『ウェディング・ソング』だから、もうこの時点でムーンライダーズだ。初期ムーンライダーズの魅力に気付いたのは実は随分最近のことだ。『シナ海』なんて30周年コンサートのC.C.レモンホールでの演奏で感動した訳だし。mixiを書き始める頃に一連の作品が紙ジャケリマスター再発されて、そこできちんと赤いアルバムを聴いたくらいのものだ。

『君と旅行鞄』では武川雅寛と一緒に椎名和夫がダブルでバイオリンを聴かせる。武川雅寛は『神田川』でもバイオリンを弾いていることは余り知られていない。椎名和夫は『マニアの受難』でインタビューに登場しているが、その後著作権絡みでの議論(ダビング10かなんかだったかな)で密かに表舞台に登場したこともある人だ。

意識的に色んなメンバーのボーカルを交えてみたり、久々に『こうもりの飛ぶ頃』を演奏したりと、解散コンサートらしいエンタテインメント性を出そうとしているのが分かる。

この後『火の玉ボーイ』が出るのが76年1月。同日にはあがた森魚の『日本少年』も出ている。プロデュースは細野晴臣だが、演奏ではムーンライダーズが多いに貢献している。その後、キャリア上は1stとなる『ムーンライダーズ』が77年2月に出るが、ここまで一直線に繋がっている。

後半はラテンであったりファンクであったり、ダブルのバイオリンでフォークダンス風であったりと様々に音が変わっていくが、このあたりが後の無国籍風に繋がっていくんだろう。つくづく『センチメンタル通り』だけでは語れないグループであることが分かったボックスだ。