スクリッティ・ポリッティ『White Bread Black Beer』

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スクリッティ・ポリッティが99年に『アノミー&ボノミー』で11年ぶりに復活した時は驚いたが、これはそれから更に7年経って06年にリリースされた5作目。ホーム・レコーディングで非常に地味な印象があったので手を出さずにきたが、気にはなっていた。ということで中古で購入。

スクリッティ・ポリッティといえば『キューピッド&サイケ’85』。アルバムが出るまでの怒濤のシングル群がリリースされる度に坂本龍一サウンドストリートでかかり、ピーター・バラカンも自身の番組で一押しで紹介するなど、レコメンドの嵐だった。実際、その音の良さと弾けるようなポップな楽曲は強い印象を残したし、12インチシングルで出れば必ず買っていた。『ウッド・ビーズ』『アブソリュート』『ヒプノタイズ』あたりは本当に絶好調だったなあ。

その後『プロビジョン』で2番煎じのようになってしまい、フェード・アウトしてしまったが、世紀末になって驚きの復活。でもそこでの佇まいは静かなものだった。

このアルバムもひとりでレコーディングしたとあって非常に静かなアルバムだ。全盛期の頃もスローな曲はあったが、その辺の曲が全体に渡って展開されるような内容。元がポップなので暗くなるようなことはないが、内省的な印象は拭えないのでインパクトには欠ける。活動していること自体が奇跡的なので、それで充分と言ってしまえばそれまでだが、何かひとつ果実があってもいいんじゃないだろうか。「あの頃」を期待しちゃうんだなあ、どうしても。良くも悪くも事前の印象通りだった。まあ、いい曲も多いんでじっくりと聴いてみよう。