『暴動』

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71年リリース。以前持っていたが魅力が分からず売ってしまっていた。ということで買い直しになるが、なるほどカッコいいと思った。

ビーチボーイズブライアン・ウィルソン一人で『ペット・サウンズ』を作り上げたように、スライはこのタイミングでシリアスになったんだな。そうしたことはここまでの作品を聴いてきて初めて分かったことで、最初にこれだけを聴いても変化が分からないし、これまで散々評価がされてきているだけに、単発で聴いても地味に聴こえるだけ。自分も確かにそうだった。

でも、ここに横たわるクールさは音の質感も相俟ってとても複雑でカッコいい。それまでのお祭り騒ぎと違って、抑制されたパワーがある。「えっ、これで終わり?」みたいな曲もあるし、ベースが影で蠢いているのもいい感じだ。リマスターで音が良くなってるのも効いてるんだろうな。全体のくぐもりは相変わらずだけど。

Space Cowboy』なんかイントロからかなりカッコいいし、ジャミロクワイがタイトルを拝借したのも良く分かる。ヨーデルが出てきてしまうところははっぴいえんどの『空いろのくれよん』のようだ。リズムボックスとブルースハープの同居もしっくりはまっている。そこにヨーデルだもんね。凄い曲だ。

『Running Away』のノーマルさに一瞬安心してラストの『Thank You For Talkin' to Me, Africa』。YMOは今回この曲をカバーしている。元々サウンドストリートなんかで、「延々と皆でファンクを演奏したい」等と言っていたから、今回その夢が叶った訳だ。『Thank You』のスローバージョンみたいな曲のようだが、何といってもベースが異常にカッコいい。細野晴臣がどんな風に弾いてるのか楽しみだ。

このアルバムの魅力が分かるまで20年くらいかかったかもしれない。スライの現役時代を知らないので仕方ないが、流れに位置する作品であることがメディアからは伝わってこなかったし、自分でも勉強不足だった。これまでのアルバムと違って、何度も聴き返したくなる作品だ。複雑だもの。