メロウ・キャンドル『抱擁の歌』

f:id:tyunne:20181015213436j:plain

ここらでちょっと箸休め。72年リリースのブリティッシュ・フォーク。先日聴いたチューダー・ロッジと共にその筋では有名らしいが、これもKiKiKIRINJIでかかっていた曲で初めて知った。かかっていたのは『Buy or Beware』だが、こいつはいかしている。変わったグループだ。

 

後半(B面)はこういったアップテンポの曲が並んでいて、次の『Vile Excesses』なんかもグルーヴィーでいい感じ。演劇的な部分も多くて、一般的にはお勧めできないが、キリンジ弟が「最近こればっかり聴いてる」と言っていたり、兄が「高円寺のプログレ喫茶にチューダー・ロッジを探しにいったらこれを勧められた」と言っているように、ポップス好きなら「おっ」と思うような瞬間が潜んでいる。変なコーラスばっかりじゃなくて、楽器のグルーヴが同期して追いかけてくるような展開の妙がニヤリとさせられるアルバムだ。

72年というと今聴いているスライの後期に当たる訳だが、イギリスではこんなことが水面下で起こっていたんだな。自分はプログレは聴かないので、こうした感じの作品はあまり触れたことがないが、以前聴いたケストレルなんかもこんな感じで捻くれていて、XTC好きとしてはどうしても琴線に触れてしまう。アルバムはこれ1枚しかないようなので、時代の徒花として楽しむ一品でしょうね。面白いですよ、確かに。