『サニーデイ・サービス』

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最近再結成して新作を出したサニーデイ・サービスのこれは97年リリース4作目。前作の『愛と笑いの夜』はちょっと暗くて弟にあげてしまったが、この作品はPVで耳にした『NOW』がいい曲だったのでずっと気になってはいた。それから10年以上放ったらかしておいたが、今回中古屋で安かったので手に取った。

 

サニーデイ・サービスが出てきた時は、そもそもはっぴいえんどのフォロワーなんてものが世の中に存在するとは思ってもみなかったのでとてもびっくりした。今では当たり前だが、当時は『青春狂走曲』みたいな曲が現役のアーティストによって奏でられるなんて信じ難い事実だった。初めてその質感を味わった人には新鮮だったかもしれないが、元ネタを知っている身にとっては妙な違和感から素直には受け入れられず、『東京』を手にしたのも随分後になってからのことだ。

解散直前のアルバム『LOVE ALBUM』の頃には影響を消化し切った純粋にいい曲が並んでいて、『夜のメロディ』『魔法』みたいな普遍的に残っていきそうな名曲が生まれてきていた。でもそれまではフェイク。よってこのアルバムにもなかなか手が伸びなかった。

曽我部恵一を見直したのはソロになってから。この辺は奥田民生にもいえるが、バンドの頃よりもソロになってからの方が切れ味が鋭くて、影響力も半端じゃない気がする。「バンドは楽」と奥田民生ユニコーン再結成の時に言っていたが、その楽さ加減が今ひとつなんだなあ。サニーデイの場合はむしろ違って素朴さが出てくるみたいなので、新作もその内聴いてみたいと思っている。

で、このアルバム。前後作でシリアスな面が表出しているので近寄り難いが、これはスッと入っていける敷居の低さがある。気負わない方が曽我部恵一はいい作品を生み出す。最近は鈴木慶一との共作が多くて、それはそれでいいんだが、やっぱり何度も言うがムーンライダーズ30周年での『スカンピン』のカバーで見せた迫力、あれは唯一無二で当日一番感動したかもしれない。WORLD HAPPINESSでの鈴木慶一ライブでも曽我部の曲が実は一番良かったし、「日々ステージで鍛えている人は違うなあ」とつくづく思った。それがそのままパッケージされたようなラフさが魅力だと思う。突出した曲がない分聴き込みがいがある佳作。いい作品です。