ザ・バーズ『Ballad of Easy Rider』

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歴史から忘れられているバーズの68年作。バーズというと『ミスター・タンブリンマン』に代表されるフォーク・ロックの創始者として語られることが多いが、実際はカントリー・ロックの祖でもある。かくいう自分もバーズの中では3rdの『Fifth Dimension』が一番好きだが、何といっても今回のアルバムの後に出た『(Untitled)』に入っているリトル・フィートのカバー『Truck Stop Girl』が余りにもカッコ良くて、この時期のバーズにも非常に関心があった。

 

で、このアルバムだが、映画『イージー・ライダー』のサウンドトラックにロジャー・マッギンが参加した経緯で作られたもの。この前に出ているグラム・パーソンズ参加作の『ロデオの恋人』の陰に隠れて見過ごされがちだが、なかなかにいい感じに仕上がっていて、自分は好きだ。ボブ・ディランのカバー『It's All Over Now, Baby Blue』もコーラスワークとスライドギターが溶け合っていてとてもいいが、ジーン・パーソンズ作の『Gunga Din』も気に入った。

後期のバーズはザ・バンドリトル・フィートなんかに近くて、かつ初期のフォーク・ロック色も時折顔を見せるという意味でとても味わい深いものがある。実は今回、中古屋で『Fifth Dimension』の紙ジャケを見つけて散々迷った挙げ句スルーしていたら速攻で買われてしまって悔しい思いをしたんだが、その時に一緒にあったのがこのアルバムとラスト作の『Farther Along』だった。結局どちらも手にしてしまったが、買っといて良かった。バーズは03年の再発以降再プレスもなく、まめに探して廻るしかなさそうだが、聴くといいので気長に付き合っていこうと思う。