ローリング・ストーンズ『メイン・ストリートのならず者』

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デラックス・エディションで最近盛り上がっている72年作。70年代のストーンズはとても好きだが、左程詳しくないのであまり手を出さずにいた。このアルバムは元々は2枚組でそのボリュームに引き気味だったが、先日青山陽一がつぶやいた『Loving Cup』でやられた。こりゃあいいですわ。

 

で、1曲目の『Rocks Off』から緩くていきなりいい。『Tumbling Dice』もここに入ってるんですね。大好きです。『Casino Boogie』もいいじゃない。この辺のラフな感じはストーンズの最大の魅力だと思う。ガチッとしてないところがいいんだよね。

この頃ストーンズのメンバーはフランスに移住したらしいが、ヨーロッパのバンドなのにこのアメリカ南部具合はどうだ。環境が分からないが、その憧れが客観から主観になってこれだけの雰囲気を出しているというのは驚きだ。よっぽど好きなんだなあ。と、『Sweet Virginia』を聴きながら思った。次の『Torn And Frayed』なんかも埼玉県の田園風景を車窓から眺めながら聴いたらさぞかしはまるだろう。そして『Loving Cup』。これでまだ半分。

次の『Happy』はキースだ。幸せなリフが続いてとてもきらびやかだ。明るいですね。呻くようなボーカルは楽器の奥から聴こえるよう。ブラスも控えめながらいい効果。『Turd On The Run』もスピード感があっていい。それにしてもお腹一杯のアルバムだ。快進撃が続くアッパーな展開にファンは狂喜乱舞しただろう。これは全体的なクオリティが高いアルバムですね。

『Let It Loose』あたりになってくると小休止。少し落ち着いてくる。さて、最後D面。『All Down The Line』から。2枚組の魅力はそのアーティストのピークを示す充実度だ。XTCも『English Settlement』は最高のアルバムだし、ザッパの『Uncle Meat』、トッドの『Todd』、ビートルズのホワイト・アルバムも然り。その中でも最終面は聴く側の疲れも伴って浮遊する幸福感で満たされる。『Shine A Light』は始まり方がザ・バンドの『I Shall Be Released』みたいだ。聴き進んでいくと大分違うが。で、ラストは『Soul Survivor』。ああ、こうやって終わるんだ。いい感じだなあ。

ということで言われている通りのいいアルバムでした。今まで聴いてなくてごめんなさい、という感じです。