アズテック・カメラ『Dreamland』

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93年リリースの坂本龍一プロデュース作。先日FMで『Birds』がかかって急に思い出して探したら中古屋で安く売っていた。とても綺麗な作品だ。

 

93年といえば『テクノドン』が出た年。後味の悪い再結成劇を繰り広げていた頃に一服の清涼剤のように世に出ていたアルバム。アズテック・カメラといえばネオアコの1stくらいしか持ってなかったが、この頃は音楽の幅を広げていた頃で、元々大好きだったという坂本龍一と組んでアルバムを出せたロディ・フレイムはさぞかし嬉しかったことだろう。音の幸せ加減にそれは現れている。

先行シングルの『Spanish Horses』なんかもいい曲で、基本的にAORっぽい綺麗なトーンで統一されている。アズテック・カメラにネオアコを求める人からすると脇道に逸れたような作品かもしれないが、自分は結構好きだ。ヴァージニア・アストレイの坂本プロデュース作にも通じる透明感だが、時期的には『Sweet Revenge』の前くらいなので、ああいった売れ線路線の音に近づきつつあった時期。感触的にはアンディ・パートリッジがダフィーをプロデュースした時みたいなイメージも持った。イギリスのアーティストが自我に目覚めて独り立ちしていく時のステップになるアルバム、といった趣。元々ステージで戦メリをつま弾いていたらしいから、好きだったんでしょうね。最後までクオリティが一貫しているいいアルバムだと思います。