スコラ 坂本龍一 音楽の学校 ドラム&ベース編第1回

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見ました。今回から細野晴臣高橋幸宏ピーター・バラカンをゲストにリズムを語っていく。

一番驚いたのは軍楽隊の話。ワークショップで小学生を円になって歩かせている姿に気味の悪い感覚を覚えたが、リズムに従って体が自然に反応することを軍隊の行進に利用するというオスマントルコの軍楽隊の解説が非常に恐ろしかった。リズムが持っているそうした自然な現象は、人間の鼓動と呼応してその行動までも統制してしまう。その特性をうまく利用するなんていうのは何て上手で恐ろしい手法なんだろう。トルコの軍楽隊の音楽で思い出したのが立花ハジメの『Theme From Barricade』だったので、今『テッキー君とキップルちゃん』を聴きながらこれを書いています。

バック・ビートの話も面白い。白人のリズムが1拍目と2拍目を強調するのに対して黒人は2拍目と4拍目。これを取り入れたのがエルヴィス・プレスリーだといった話はニューオーリンズからジャズ、その後ロックへという流れを俯瞰するものとして興味深い。バッハの通奏低音がダンス・ミュージックとしての意味を含むといった話も含め、つくづくリズムの持つ役割の大きさに感心した。モダン・ジャズ以降ドラムは自由になり、ウォーキング・ベースとしてのベースのリズム・キープの役割が増すなんて話はここでないと簡単に理解することはできなかっただろう。なるほどねえ。

それを踏まえて『千のナイフ』の演奏を聴くと、主旋律が入る前のイントロの演奏にベースラインが浮き上がって聴こえてくる。非常に駆け足ながら、ポップスの構造と前史から連なる系譜を理解するのにとても役立つ。面白いなあ。

因に対談内容は発売済みのschola vol.5の内容が映像になったものでした。