流線形『TOKYO SNIPER』

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06年リリースの2nd、というより1stフルアルバム。ボーカルが変わっている。音の質感は初作から多少透明度が後退した分衝撃度が薄まっているが、タイトになった。前作で少し気になった旋律のワンパターン化が解消されて鼻につく感じがなくなってはいるが、その辺りはボーカルの声質に起因するところも多いのかもしれない。曲自体の出来は1stの方が上のように思う。少し全体的に均質感が出ちゃったかな。それでも唯一無二だとは思うが。

 

ドナルド・フェイゲンの『ナイトフライ』的なAORテイストも感じさせつつ、徹底した70年代風味。音のバリエーションが減っているのはオリジナリティの醸造と見るべきか。ややもするとクレイジーケンバンドにも近づいてくるきらいもあり、それはそれでいいと思うが、フェイクというものは徹底すべきだと思うので、もっとスノッブに進化してもいい。もう一作あるので機会があれば聴いてみたいが、長続きすれば奇跡、これでフェードアウトしても伝説、という希有な存在であることは間違いない。