キリンジ『夏の光』

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ニュー・シングル。昨年のライブ音源をボーナストラックに抱えて46分のボリューム。最近のキリンジのシングルは非常にお得だ。

で、新曲の方は一見爽やかだがとても不気味だ。音の壁をかなり作り込んでいるが、シンセとコーラス、そしてベースが鳴り続けている。旋律はタイトル通りの爽やかさを讃えているが、何とも恐ろしげな音がバックで鳴り続けるという恐怖の作り。ラジオで聴くと左程でもないが、ヘッドフォンで聴くとその恐ろしさは鮮明。さすが、やるなあ。配信限定のシングル『セレーネのセレナーデ』も革新的だったが、ここ最近の堀込高樹はまたもや絶好調の兆しを見せてきているように思う。9月に発売予定のアルバムも楽しみだ。

ライブの方は何といっても『休日ダイヤ』だ。キリンジで一番好きな曲かもしれない。インディ・レーベルからのデビュー・シングル『冬のオルカ』のカップリング曲だが、最初にしてこの圧倒的な完成度!このシングルは表題曲と『水とテクノクラート』『休日ダイヤ』の3曲すべてが名曲で、その後メジャー・レーベルからの争奪戦になったのも頷ける。本当に歌詞が渋くて、「一体何物なのか」「本当に若いの?」等といった物議を醸したのも無理ないところ。この曲だけで買う価値あり。

『ロマンティック街道』等は密かにジャジーなアレンジで、原曲の打ち込みはどこへやら。曲がいいからアレンジを変えても持ちがいい訳だな、キリンジの場合は。『今日も誰かの誕生日』もスローで大分アレンジが違うな。色々試していて微笑ましい。ラストも好きな曲『YOU AND ME』。最後は何の曲のイントロだろう。ここでフェードアウトして終わるところが意地悪いなあ。

ということでとてもお買い得なシングル。アルバムも楽しみ。