85年に出たこのアルバムが大ヒットした時は少しびっくりした。1stの『ザ・ハーティング』がイギリスで流行っていたので名前は知っていたが、一気にこの2ndでスターダムにのし上がるというのは想像がつかなかった。先行シングルの『マザーズ・トーク』を12インチで聴いていて、そのカッコ良さにしびれていたので、今回手にしたデラックス・エディションはずっと気になっていた。この頃の音源が網羅されているから。
このアルバムで一番好きな曲は『The Working Hour』だ。これは無敵だと思う。
アルバムは構成がよく練られていて、『Head Over Heels』をライブ音源で挟み込むところなんかは憎い。ロバート・ワイアットみたいな『I Believe』は細かい音がよく聴こえてきた。一応SHM-CDですんで。ビートルズ以降の傾向からか、音圧は抑えめで耳にもいい感じだ。実際ロバート・ワイアットのカバーもボーナストラックで入っていたりして微笑ましい。
残念だったのは『マザーズ・トーク』のExtended Versionが収録されていなかったこと。てっきりBeat of The Drum Mixがそれかと思っていたが、これは別ミックスだった。自分にとってはティアーズ・フォー・フィアーズは『マザーズ・トーク』の12インチに尽きるので、これは少し残念。
この頃は12インチシングルが各アーティストから多発されていて、無意味なミックスも大量に増発されたが、スクリッティ・ポリッティみたいに中には秀逸なものも散見された。ただ長いだけではなく恍惚感が持続するようなバージョン。この辺をデラックス・エディションでまとめてくれるのが今回みたいな商品化なんだとしたら、意味のあるアーティストは多少は存在するように思う。