坂本龍一『BEAUTY』

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89年リリースのヴァージン移籍作。当時は世界進出に野心を燃やしていた時期で、先日の90年代の高橋幸宏と同じく個人的に興味を失っていた頃の作品だ。

ベスト盤で何曲かは耳にしているが、沖縄路線を引っさげたグローバル志向で、そのあたりも敬遠していたポイント。何で今更細野晴臣よろしく『安里屋ユンタ』をやるんだ、などと思っていたが、今では結構好きだ。『ローズ』なんて美しい曲もあって意外と侮れない。『アモーレ』はCMで聴いた覚えがあるな。

 

『ウィ・ラヴ・ユー』でロバート・ワイアットブライアン・ウィルソンも参加させちゃうバブリーさ加減が痛いが、大手のプロダクションというものはかくも極端かと考えさせられる。ロバート・ワイアットの起用は「世界で一番悲しい声が欲しかった」からだそうだが、これ悲しい曲か?単純にポップスとしてはカッコいいと思うけど。

どメジャーな感じと沖縄を利用して日本を売るような感覚がやっぱり好きになれないアルバムだな。ユッスー・ンドゥール参加の『ジャバラム』も今ひとつのめり込めない曲だし。この後『ハートビート』でハウスに急接近して後のYMO再生になだれ込んでいく。「世界のサカモト」は当時も今も自分にとっては必要ない時期の音楽だ。