『プリザヴェイション第1幕』

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キンクスのポスト・ヴィレッジグリーンともいうべきロックオペラ第一幕。73年リリース。こちらも買い直しになる。以前はアクト2との2in1で持っていた。

大過ぎて聴き込めずにいたのはそのボリュームからで、今回オリジナル通り別々のタイトルできちんと分けて聴けるようになった。意外といい曲が多いのは気付いてはいたが改めて『Daylight』や『Sweet Lady Genevieve』を聴くと非常に味がある。

この時期レイ・デイヴィスは仕事に没頭してスタジオに籠りがちになり、その結果離婚、鬱病、自殺未遂、入院というすさまじい状況にあった。その最中での制作内容は理想郷ヴィレッジグリーンの崩壊という形をとる。まるで先日聴いた高橋幸宏の心痛3部作やムーンライダーズのドントラのようだが、物腰はいつも通り皮肉屋の明るさを保っており、聴きやすい。

売上は絶不調。それでも続編を作るというのはもう妄想と制作意欲が止まんないんだろう。鬱が薬で反転すると躁になるので推して知るべし。アーティストの場合それが作品という形で残るのが皮肉なところだ。

RCA イヤーズには『マスウェル・ヒルビリーズ』という傑作が存在するが、この時期のホーンを絡めた場末的な雰囲気は嫌いじゃない。本作収録の『Cricket』なんかにもそれは顕著で、物悲しいフレーズが複雑なメロディと構成と共に響き渡る。

『Sitting In The Midday Sun』はヴィレッジグリーンの『Sitting By The Riverside』みたいな定番日なたぼっこソングだが、『Sunny Afternoon』や『Waterloo Sunset』といった曲群も含めてレイ・デイヴィスは太陽が好きなんだろうな。というか日差しかな。太陽の光は癒しになりますもんね。

 

ということで第2幕に続く。