ローラ・ニーロが亡くなってから何枚か発掘音源がリリースされているが、これはその究極。71年のフィルモア・イーストでのライブを収録したもので、時期的には『Gonna Take A Miracle』の直前にあたる絶頂期。ポロッと安く置いてあったのでサクッと購入。
基本延々とピアノの弾き語りだが、何事なのか、という迫力が持続する。強さが全面に出てまだ母性が出ていない頃のエキセントリックな歌声が響き続ける希有なステージで、聴いているだけで引き込まれる。
『Emmie』や『Save The Country』なんかはイントロが始まった瞬間に歓声が上がる。まるでダニー・ハサウェイのライブのようだ。ローラ・ニーロはよくレコーディングの際に、スタッフにイメージを色で伝えていたそうだが、このライブからは漆黒のイメージが伝わってくる。それは暗い色というより強い色だ。華やかさはないが芯が強くてしかも美しい。ピアノ・ブラックというところか。最近よく目にする薄型TVの謳い文句。そこには闇というより奥行きがある。
観客の盛り上がりも含めて「凄いなあ」と思わず呟いてしまう迫力あるライブ盤だ。