CRAZY KEN BAND『ブラウン・メタリック』

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ということでラテン風味といえばCKB矢野顕子と一緒に遡っていくことに決めたので、次々と聴いていきます。こちらは04年リリースの6作目。『El Diablo』いいですね。『True Colors』にもやられちゃう。収録時間73分って、ほとんど2枚組じゃないですか。

クレイジー・ケン・バンドにはピチカート・ファイヴオリジナル・ラヴといった往年の渋谷系のテイストを感じていた。これまでベストしか持ってなかったが、大作をコンスタントに次々リリースしているので黙って見ていられなくなったのが実状。

ほんとに有り余る才能をアウトプットせざるを得ない活動っぷりに敬意を表するし、実はゼロ年代CKBのディケイドだったんではないかとも思わせてしまう。あくまで邦楽としてですが。アイズレー・フリークとしても知られているので、実は同じアイズレー・フリークの山下達郎よりよっぽど今を生きている旬なアーティストなんじゃないかと思う。ことその部分については源流が似てそうだし。ただCKBはユーモアがあるのがいい。

『Midnight Cruiser』もやたらとカッコいい。

 

この辺のおしゃれな感覚は一体何なのか。横山剣はとにかく思いついたらメンバーに連絡してアイディアを説明して演奏させて即録音、みたいな話をしていたが、それって全盛期のスティーヴィー・ワンダーじゃないですか。そこそこ売れながら好きなことをやりまくれる環境にある希有な成功者ではないかと思う。横浜という文化を背負っているのも好感が持てる。いいね!

『レコード』もいい。このエレピの音が泣かせるんだな。次の『殺したいほど好き』もカッコいいなあ、詞は別として。何つっても演奏が渋いのよ。ここまできてまだアルバムの半分くらいというのが泣かせる。ほんとに大作主義なんですね。というよりアイディアが止まらないんだろう。一体横山剣という人は何者なのか。

『息子』も最高ですね。切れ込んでくるスネアのイントロから展開されるカッコいいんだかカッコ悪いんだかよく分からない曲。カッコいいですけどね。CKBには日本独自の不良文化の昇華を担ってもらおう。この進化の仕方は唯一無二だろう、世界的に見ても。和田アキ子にも矢沢永吉にも出来なかったことだ。ちょっとグローバル化して欲しい気がするんだがどうだろうか。オタクとスーパーフラットの次は不良文化の輸出だと思うんですが。YMOボアダムズと来てCKBというのも粋じゃないですか。まあ器楽じゃないので難しいかもしれませんが。

『あぶく』はアイズレーっぽいな。ほんとにまともな曲を書く人だ。

 

『木彫りの龍』は『まっぴらロック』のバリエーションじゃないですか。笑うなあ。センスいいですよね。『いいね!横浜 G30』も好きな曲。これは何かのキャンペーンソングだったよな。

これ傑作ですね、早くも。これから聴いていくアルバムにもめくるめく展開が待っていそうで怖い。