『思想地図β Vol.1』

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ほぼ読了。東浩紀が自ら会社を立ち上げて出した思想地図第2弾の1発目。とても面白かった。何か売れているようだが、こんな難しい本が売れるなんて凄い世の中になったものだ。

東浩紀は90年代がどんな時代だったのか想像できなくて困っていた時に見事に答えを出してくれたのが出会い。「郵便的」というキーワードでクリアに時代を切り取ってみせてくれた。その後趣味のオタクに傾倒し、サブカルチャー論客のような形で支持層を拡大していったような印象がある。自分としてはCD を買うような感覚で作品として発売される書籍を楽しんでいる。

今回は冒頭の猪瀬直樹村上隆との対談でまずはノックアウトされた。東京都副知事という立場と世界に打って出るアーティストという異質なものに児童ポルノ規制の問題と日本国というテーマをぶつけて共通点を見いだそうとする試み自体興味を引かれるが、水道の運営に関する話からして面白かった。

ライフログについての言及があった廣瀬通孝の論文には大分ヒントをもらったし、ショッピングモールについて語る第1部の面白さといったら。珍しく音楽についても菊池成孔渋谷慶一郎佐々木敦を迎えて対談がなされており、魅力満載の本となっている。

北田暁大と共に監修した元祖思想地図もよかったが、より幅広く楽しい企画を盛り込んだ今回のβ版は更に魅力が拡大した。本日夜中に放送されるTBSラジオのLifeと合わせてしばらく知的参照先として楽しめそうなタイトルが出てくれた。今後も楽しみ。