『フランク・ザッパ/キャプテン・ビーフハート・ディスク・ガイド』

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こちらもほぼ読了。キャプテン・ビーフハートの訃報に落胆していたところに入ってきた嬉しいニュースはこの本の発売とピーター・バラカンのFMでのビーフハート特集だった。

一部で批判も出ているが、単純にすべてのタイトルを紹介しているだけでまずは価値がある本だと思う。以前つぶやいたように自分は決してこの著者が好きではない。自己陶酔が過ぎるし、逃げの発言とその裏返しである他者への攻撃的姿勢が目立つからだ。但し、マニアにありがちな思い入れの深さが冷静さを欠いて暴走するのは気持ちは分かるし、そこを斬って捨てるのも原理主義的で同じ穴のムジナのように見える。正確さを求めればきりがないだろうし、その前に感情的な抵抗感が先に立ってしまって見苦しいからだ。ある意味汎用性を目指しているという意味ですべてを網羅する姿勢は一応評価すべきではないか。

とはいえ、後半の関連アーティストを集めたパートはやはり疑問が残るし、ビーフハートのパートの後半に見られるメンバー紹介に終始したテキストはいただけない。また先に触れた自己陶酔系の表現も若干鼻にはつく。それでもこの本は使えると思う。特にザッパのタイトル数は半端じゃないので、キリンジではないが「どこから手を付けたらいいのか」と迷っている音楽ファンには参考になる本だと思う。かくいう自分もこの本で『パーフェクト・ストレンジャー』を買う決心がついたところだ。カーネーション直枝政広との対談も楽しく読めた。

ということで、こんな言説を生む時点でやはりザッパとビーフハートは凄い。もう二人ともいないなんて寂しいなあ・・。後はビーフハートの再発を心待ちにして毎日を過ごそう。