デートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン『Structure et Force』

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ここ最近思想誌やラジオで菊池成孔をよく見かけるが、その流れで思わず手にしてしまったDPRGの03年作。実は聴くのは初めてだ。難解な印象があったが、いわゆるクラブ・ジャズみたいな印象は変わらなかった。結構ポップなんですね。

曲の題名からして『構造1現代呪術の構造』なんていう哲学的なタイトル。話も理屈っぽくていいが、何よりユーモラスなのが好きだ。矢のようにまくしたててかつ躁的。滲み出てくるインテリ具合を笑いで処理しているところがキッチュで憎めない。友人からもらったマイルス・デイヴィスの曲をかけないマイルス特集を先日も聴いていたが、これも本当に面白い。

基本的にエレクトリック・マイルスの延長線上にあるようなイメージ。ただ、ヒップホップを通過したグルーヴが加味されているので、より現代的だ。ポスト・モダン論者みたいな印象もあるが、語っているのは音楽の構造なんだろうな。語る内容は高尚過ぎてついていけないが、音楽は踊るものとして捉えているように思う。混沌具合は『アガルタ』のようだ。

DPRGを知ったのはROVO渋さ知らズなんかと合わせて日本のジャズが語られ始めたゼロ年代初頭だが、音を聴く前に語り部としての菊池成孔が先に入ってきたので、きちんと向き合うのはこれが初めて。大分サックスの音がキンキンしていて少しうるさい。もう少し音が鋭いかと思ったが意外とまろやかな手触りなんですね。でもカッコいいです。