大滝詠一『多羅尾判内楽團Vol.1』

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77年リリースのエレキインスト第1弾。ここまで来るとかなりマニアックになってくるが、これも思った以上に「聴ける」アルバムだった。音がタイトなんだな。ある意味ワールド・シャイネスやティン・パンにも近い。

ベンチャーズやサーフものに惹かれる気持ちはほとんど理解できないのでまだまだ甘いな、と自省しつつ、端的に音としての魅力に再発見をする。パーソネルとして駒沢裕城が重要なのはクレジットから伝わってくるが、タイトさに加えて綺麗な音色が響いていて心地良い。メッセージなんてなくて、単に快適な、自分の好きなものを世に出していくというのはきっと羨望の的だろうし、やってる方は大変かつ楽しいんだろうと思う。これで社会を動かす、変えるなんて微塵も思ってなかったろうが、ある意味歴史の解釈を記録として残していくことで深読みをかわしつついい音で表現していくこと。

ロイ・ウッドがやっていたことはそれを更にポップスに仕立て上げて実際に売上も上げていたんだからそれはそれで凄い。ロイ・ウッドが好きなんだから大滝詠一、多羅尾判内も気に入る訳なんだな。ここからフィル・スペクターに遡っていくのはもう少し時間とお金がある時まで待とう。バカラックもね。

それにしても変名が多い人だ。多重人格モデルを実践してたのかな。だとしたら20年くらい早い。