ナイアガラ最末期のノベルティ路線決定盤。78年11月の本作リリースを最後に第1期ナイアガラは終焉を迎える。ご苦労様でした。
実質多羅尾判内楽團のVol.3にあたるため、音頭と銘打ってはいるがエレキ・インスト路線の色合いも濃い。御大のセルフ・カバーもあり、歌もの多羅尾判内といった趣のタイトルも存在する。とはいえ、『ナイアガラ音頭』から連なる音頭モノが幅をきかせる後半は強烈なインパクトだ。当時細野晴臣のトロピカル路線との比較がなされていたことは今回初めて認識したが、さぞかしはっぴいえんど出身組は狂気の沙汰として白い目で見られていたことは容易に想像がつく。一体どこに行ってしまうのか、と心配になったんだろうが、それがロンバケやYMOに結実していくんだから歴史は分からない。極端なものはエッセンスとして背後に蠢き、メイン・ステージで繰り広げられる文化の奥行きを構成していく。80年代初頭はそういう時代だった。
契約した枚数をこなすためには何をやってもいいという究極の幸せを手に入れた大滝詠一がラストに放った大技が音頭だったというのは象徴的だ。変名でシャネルズのメンバーも参加しているらしいが、ピンク・レディーといい宇崎竜童といい、70年代末のアイコンが散りばめられていて楽しい。バンド・サウンドで奏でる音頭は見た目程色物ではなく、素直に聴ける。バックにロックンロールがあるからだな。それをリズムだけ変えている訳だ。そういう意味では海外から見た日本、というYMOのコンセプトにも通じる訳で、日本のロックとしてもてはやされたはっぴいえんどの発展系として両者は頷ける。そうか、こういう系譜だったか・・。全部繋がってるんですね。