トッド・ラングレン『Todd Rundgren's Johnson』

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師匠の新作はロバート・ジョンソンのカバー集。最近の師匠はこのカバーか旧作の丸ごと全曲演奏ライブに熱心で、これも出るべくして出た作品だが、それにしても国内発売はないし装丁も悲しい程シンプル。お金なさそうだなあ。これでいいのか。でも師匠だからいいんです。

前作の『AREANA』は70年代のアリーナ・ロックの再来、と銘打った意欲作?だったが、今の時代に何故?という感覚が否めなかった。今回もそこは「何故?」が消えない意図不明の作品だが、端的に趣味なんだろう。大滝詠一風にいえば趣味趣味音楽だ。やっぱり歳をとったんだろう。自分の好きなことをやって何が悪い、というような開き直りを感じてある意味潔い。音は全体的に抑えめで、路線は前作同様のハード・ロック路線。師匠も沢山ギターを弾いている。ベースは盟友カシム・サルトンだ。

大体からしロバート・ジョンソンをあまり知らないので、その時点で師匠に失礼というものだが、それでもこの路線に諸手をあげて賞賛という訳にはやはりいかないなあ。それだったら最近やってる過去のアルバムのフル演奏をパッケージ化して欲しかったのが正直なところ。でも師匠だから仕方ない。

『AREANA』には『Weakness』みたいなバラードも収録されていたし、ポップな曲もあったりして意外と捨てたもんでもなかったが、今回は当然ブルースの巨人のカバーなので、想像通りの音。トッドのハード路線が拡張されたここ最近の活動を良しとする人は少ないだろうと思うが、でもそこはやっぱり師匠。これでいいんです、これで。元気に活動し続けることが一番。でも最近のブライアン・ウィルソン細野晴臣みたいに自らのルーツを掘り下げて味わい深いオリジナル作品を是非師匠にも作って頂きたい。誰か言ってあげて!