『POV』

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ユートピアの最終作。85年リリース。恵まれない時代のラスト・アルバムだが、密かに聴きどころはある。何といっても『Mated』が入ってるしね。

先日たまたまiPODをシャッフルで聴いていたら本作冒頭の『Play This Game』がかかったが、この曲なんかも非常に旋律が複雑で、かつサビはキャッチーという名曲だ。その他『Secret Society』なんかもトッドの来日公演で演奏していたので意外と耳にしている曲が収録されているアルバムだ。

全体的に聴いていくと、その後のトッドのソロ作『ア・カペラ』や『ニアリー・ヒューマン』に繋がるソウル路線が浮かび上がってくる。前作の産業ロック路線からは一歩後退し、よりソウル系のテイストが増してきていて微笑ましい。当たり前のことだがその後に接続しているんですね。

音の選び方は古さを感じてしまうし音圧もイマイチだが、これはこれで保存版。この後トッドはバンド回帰でソウル路線を突っ走り、何を血迷ったかインタラクティブ・ミュージックなるものを発明して今後のリリースはインターネット経由に限定する、という何年も時代を先取りした手法へ転換。もう通常の形でのCDリリースはしないと言い切ってその後あっさりと方針転換。いくつかの発掘盤を経て最近はアリーナ・ロック回帰、ブルースのカバーと混迷期に入っている。

90年代に取り組んだ手法はまさに今やれば当たり前で最先端ではあるが、それを人より10年以上も前にやることろがこの人の凄いところ。早過ぎて時代とマッチしないし、どうしてもやり方が中途半端になってしまう。ここ最近のアプローチは資金面での弱さも目立ってきていて、カーズ再結成への参加も経済面での危機が動機のひとつになっているという有様だ。じゃあ何をやるかというと、コンサートでは旧作まるごと再現もやってるし、ビートルズのカバー・バンドなんてのもあった。(過去何度もビートルズには接近しているが。)ほんとに気ままでついていくのが大変だが、それもまたお楽しみ。何といってもこの人の魅力はメロウ路線なんだから、開き直っていい曲を一杯かいて欲しいんだが・・。