こちらもやっと聴けたベニー・シングスの新譜。前作を知ったのは高野寛のインタビュー経由だったが、その後もウーター・ヘメルやジョバンカのプロデュース等で精力的に活動している。オランダのアーティストというのも非常に不思議だ。
宅録系の音づくりなので若干の閉塞感は漂うが、やっぱり曲がいいので聴きながら唸らされる。今作の音の雰囲気は初期の鈴木博文のような質感がある。映像がアップされている『Big Brown Eyes』のイメージから少し地味な印象を抱いていたが、結構他がいいんだな。『Can We Try』『Honey Bee』『All We Do For Love』『Each Other』といい曲が目白押しだ。
印象は地味だが、この手のものは後から効いてくる。独特の緊張感を強いるサウンドだが、隠れている音を探し当てるとそれが異様にセンスが良かったりするので侮れない。
それにしても最近はひとりで全てをこなす作品が目立つ。これは何故なんだろうか。少し考えてみる必要がありそうだ。