スコラ 坂本龍一 音楽の学校 ドビュッシー、サティ、ラヴェル編第3回

今回はサティ。想像していたのとは違って騒音に焦点を当てた内容だった。サティの音楽を聴いていて真っ先に発想したのが『千のナイフ』の収録曲『グラスホッパー』だったので、坂本龍一の1stアルバムを聴きながらこれを書いています。

2つ驚いたことがある。ロシアバレエ団に音楽をつけたのがサティで、その時の脚本がコクトー、衣装がピカソだったという事実。1900年頃のパリは世界の最先端を行く都市で、そこで生まれる都市の喧噪、ノイズが音楽にも取り入れられていったという話。その頃に芸術の世界にも既存の概念を破壊しようという意思が生まれ、それが表現として形になっていく。サティはその頃の音楽家だったんですね。

もうひとつは「家具の音楽」という概念。要するにバックグラウンド・ミュージック、BGMの起源がサティにあったということだ。都市にノイズが溢れてきて逆に静かな空間が消去法的に目立ってきた。その音の途切れた瞬間に音を流していく、あるいはノイズを消すために音楽を流していくという発想。今では坂本龍一も言っていたようにBGMが邪魔になることも多いし、常に何か音が流れていることに対して嫌悪感を表明する人も存在するが、当時は都市化は始まったばかりでそこに逆説的に音楽を挿入していくことが新しかった。それを発想したのがサティというのは驚くべき事実だ。

次週は戦メリを使ってドビュッシー、サティ、ラヴェルと現在との繋がりを分析する模様。やっぱり坂本龍一の音楽にはこの頃の作曲家の因子が息づいているよなあ。最近のピアノ中心の楽曲を聴くにつけそんなことを思う機会が多い。