『ストレンジャー・ザン・パラダイス』

ジム・ジャームッシュの名前を知ったのはやっぱりポッパーズMTVだった。当時ピーター・バラカンは音楽と一緒に映画も紹介しており、その後観た『ダウン・バイ・ロー』が非常に面白かったので、遡ってこの映画も観た記憶がある。映画自体あまり観ない方だが、この監督の映画は音楽的なので今回も面白く観させてもらった。先日WOWOWジム・ジャームッシュ特集があったんですね。

主演はラウンジ・リザーズのジョン・ルーリー。ストーリーは何てことのない日常の話で基本的に暇人を描いている。淡々と進むクールなモノクロ映像だが、根底は喜劇なので笑って楽しむことが出来る。最後ブタペストに行っちゃうのも可笑しい。

クリーブランドでのシーンでエディが「新しい所に来たのに何もかも同じに見える」と言うシーンが印象的だ。要するにこれは郊外の均質化を指摘していて、今の日本が名古屋でも札幌でも柏でも同じ風景なのと同等だ。基本、特に震災前までは退屈な世の中で淡々とした日常を繰り返している生活が大半であり、そこで刺激を求めてもせいぜいがギャンブル止まり、といった皮肉な現状をよく表している。

ジム・ジャームッシュは確かミュージック・ビデオも何本か監督しているはずだが、誰の何と言う曲だったかは思い出せない。モノクロ映像の美しさを効果的に使ったいい映画だと思う。でもやっぱり『ダウン・バイ・ロー』のが好きかな。