ELO『バランス・オブ・パワー』

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86年リリースのELO実質的なラストアルバム。こいつはほとんどジェフ・リンのソロアルバムだ。これでELOもほろんど揃えてしまった。

それにしてもいい曲が多い割に引っかかりのないアルバム。ジェフ・リンの場合はどれもそうだが、毒が足りない分響いてこない。これが唯一の欠点だろう。バランスが良過ぎてインパクトに欠けてしまう。

後半はほとんど一人で全部の作業をやってしまって既にバンドである必然性を欠いてしまっていたようだが、それが解散の理由だしジェフ・リンがその後も裏方で大活躍する理由でもある。要するに対抗馬がいて初めて真価を発揮するタイプなんだろう。調整型というべきか。強烈な個性を支えるプロデューサー、バランサーとでも言うべきか。ムーヴから初期ELOではそれがロイ・ウッドだったし、その後のトラヴェリング・ウィルビリーズやビートルズのアンソロジーでもそうだが、素材があって初めて成り立つタイプなんだな。

『Heaven Only Knows』なんかいい曲だと思うがやっぱり通り過ぎていってしまうのは悲しい性と言うべきか、資質というべきか。こういう人もやっぱり音楽業界には必要なんだろう。それでもELOが残した足跡は大きく、ポップスとしての成熟を担った一人の大切なキャラクターなんだろうなと思う。

でもやっぱり自分はロイ・ウッドの方が好きだなあ。