yanokami『yanokami』

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急逝してしまったレイ・ハラカミ矢野顕子によるユニットの07年リリース1st。これもレンタルで借りていたが、中古屋で入手した。先頃2ndが出て、これもまたよさそうなんだが、1stも持ってないのに買うのもどうかな、と思いまずは1stから。折に触れiPodで聴いてはいたので久々という訳ではないが、やはり良い音で聴くと感慨もひとしおだ。レイ・ハラカミはリズムの天才ですよ。惜しい人をなくしたなあ。

冒頭の『気球にのって』からしてグルーヴが炸裂している。一見地味なようでかなり複雑なビートを叩き出していて、とても凡人の真似できる芸当ではない。レイ・ハラカミは『lust』しか持ってないが、ある意味ワンパターンでもありかつそこが魅力でもある。決してぶれない。一体この人の頭は何で出来ていたんだろう。

矢野顕子は常にパートナーを求めていく人だ。最近では上原ひろみなんかもそうだが若い才人を見つけてはフィーチャーしていく振る舞いは数々のカバー曲を我がものにしていく様にも酷似している。飲み込んでいくタイプではなく自分に刺激を与えるものとして尊重して融合していく。何かの化学物質のようだ。

1stで既にここまでの名盤を作ってしまったので後があるとは思わなかったが、最後に記念碑を建てて去っていくのも乙なものだ。ニュースを聞いた時はショックだったが残したものが美しい。ある種文学的な雰囲気を残すのは矢野顕子のピアノが加わるからか。いずれにせよ新作やソロ作も要チェックですね。冬の風景のようでもあり、春の訪れのようでもある。イマジネーションが湧く音たちだ。