カーネーション『LOVE SCULPTURE 2』

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アナログを買ったのは久しぶりだ。

カーネーションが3ピースバンドになる前の00年に1000枚限定でリリースされた同名アルバムの続編。このタイトルの存在はロック画報のカーネーション特集で初めて知った。今回何気なくアナログコーナーを見たら偶然見つけてこちらも狂気乱舞。いいことは続くなあ。

当時のカーネーションは自分にとって完全なダークサイドで、アルバムは買っていたものの真剣に聴けていなかった。メンバーチェンジ前の混沌とした暗さが前面に出ていて自分としても没頭できなかったんだ。思えばカーネーションとの出会いは政風会のミニアルバムからだからほぼデビュー当初から聴いてきたことになる。それでも『ガールフレンド・アーミー』の頃のキラキラした感じが徐々に失われていく様は我慢がならなかったし、このままカーネーションは終わってしまうのかと危惧したものだ。その後見事に復活を遂げるとは当時も思いもしなかった。

はっぴいえんどの『はいからはくち』『抱きしめたい』のカバーが収録されているが、何とストレートでピュアなカバーなんだろう。非常にカーネーションに合っていて、当時のグランジ趣味にマッチして光っている。この2曲のために存在していると言っても過言ではないかな。

カーネーションは少し前にコロンビア期のアルバムがリマスターかつボーナストラック満載の2枚組で一斉にリリースされていて、これらの曲群も収録されているはずだが、やはり資金面で手が出せなかった。こうしてオリジナルで聴ける日が来るとはこれも思っていなかったので今回は収穫。しかしそもそも『LOVE SCULPTURE』自体をあまり聴いていなかったのでここ二日間通勤中に何度も聴き直した。決して悪くないし、その後の3ピースバンドの勢いを予感させるものでもあるので今回再評価したが、やはり当時は地味で暗い雰囲気とキラーチューンのなさに辟易としてしまった。結構ポップな曲も収録されているんですけどね。その前との落差が大きい。

会社の人に『天国と地獄』を聴かせたら「高円寺系ですよね」と一蹴されてしまった。きっとエルマロとかと一緒に聴こえてしまうんだろうが、やはり当時の流行りに収束されてしまうような雰囲気を漂わせてしまっているんだろう。その頃バンド活動をしていた人の発言なので有象無象含めて似たような音のバンドが多かったんだろうが、カーネーションの魅力はそこではなくむしろメロディの秀逸さと徹底した悲哀にあると思う。常磐線の仲間として親近感を感じずにはいられないし、徹底した情けなさを綴るその振る舞いは鈴木慶一直系の男の哀しさを表現していて、とても貴重な存在だと思う。