『Hatful of Hollow』

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84年リリースのスミス初期コンピレーション。これはシングル曲も沢山入っていてとても聴きごたえがありますね。『This Charming Man』とか初めてまともに聴きましたがポップでいいじゃないですか。勢いもあって人気が出たのがよく分かります。初期の頃は恐らくギター・ポップのバンドと一緒くたに受け入れられたんじゃないかなあ。1曲目の『William, It Was Really Nothing』なんかの爽やかなギターサウンドを聴くとその感を強くします。

『How Soon Is Now?』は先に触れた『Meat Is Murder』の日本盤に入ってましたが、即こういったシリアスな音に変化していくのが凡百のギターポップと違うところで、よりハードになっていくんですよね。うん、分かる分かる。ライブ盤の『Rank』でもギターは鳴りまくってたし、当時のイギリスの若者の怒りを上手に捉えて昇華していったんでしょうね。閉塞感を代弁してぶっとばしていってくれるような鬱屈したパワーがあるように思います。

ポリスやXTCといったパンク以降のバンド群に一歩乗り遅れているところもその存在感を際立たせたんじゃないかなあ。80年代中期にこうしたベーシックな音を鳴らすバンドって余り記憶にないですね。もう少し洗練されていたような気がします。スミスはもっとゴツゴツしてて、どこかに握りこぶしを上げるような姿勢があったんじゃないかしら。

で、『Heaven Knows I'm Miserable Now』でいきなりヘナヘナになるんですよ。この変化が当時も異質に映ったんですが、この辺からモリッシーのソロにまっしぐらなんじゃないでしょうか。ちょっと考え過ぎかもしれませんが、明らかにそれまでと違う。文学性みたいなのが前面に出てきているような気がするんですよね。バンドが短命に終わるのも何となく分かるような・・。XTCも疾走感が抜けた頃にテリー・チェンバースが脱退してますし、ポリスだって後期はスティングその他みたいになって失速する感じがある。もはやバンドじゃなくていいんですよ。でも真骨頂は初期の疾走感にある。よく語られるところではありますが。

でもこうしたコンピレーション盤も含めた丁寧な復刻は価値がありますね。いい仕事だと思います。流石はRHINOですね。