細野晴臣『銀河鉄道の夜』

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細野晴臣のこのアルバムは映画のサントラということでスルーしていましたが、しばらく前の香山リカのラジオ番組でYMO特集をやっていた時に表題曲がかかって「これは見逃せない」と思っておりました。そもそも85年という年はかなり多作な頃で、時期的には『SFX』と『コインシデンタル・ミュージック』の間にあたる隠れた絶頂期。これは聴かない訳にはいきませんよね。

映画は確かテレビで放映していて観た記憶がありますが、幻想的な音と映像でとても印象に残っています。宮沢賢治と宇宙なんてとてもロマンティックですよね。キャラクターが猫になっているというのも不思議ですが、当時の即興音楽傾向が如実に出た幻想的かつインスタントなフレーズの連続技はとても心地良く響きます。『コインシデンタル・ミュージック』が結構好きだったので、この頃の音源は気に入らない訳がないのです。ただそこはやはりサントラ。単独で聴くには少し辛めな面もありますが、音色の出来がいいので左程気になりません。むしろ「入ってくる」感じがありますね。普通映画音楽は流れていってしまうんですが、これは入ってくる。

『コインシデンタル・ミュージック』もアナログでしか持ってないんですが、こいつはタワレコ限定の紙ジャケ再発の際に買っておくべきだったかな。しかし教会の音楽のようで神々しいですね。凄い!『プリオシーヌ』の原型もあるんだ!これはびっくり。

宇宙って好きなんですよ。さだまさしの曲に『天文学者になればよかった』というのがありましたが、まさにそんな感じ。最近でも新聞の科学技術面に載っている宇宙の記事なんか観るとワクワクしてしまいます。日常の些細な出来事が宇宙のことを考えるとすっとんでしまって、とてもおおらかな気持ちになります。これ、気分転換にうってつけの方法だそうですね。確かに大き過ぎて普段の悩み事が小さく見えてしまう。大きな流れの中の一瞬に一喜一憂してもしょうがないんですよね。そういう気分に宇宙はさせてくれます。ブラックホールの話なんかもロマンティックですよね。昔宇宙旅行のマンガを描いたよなあ。

あっ、でもラジオで聴いたボーカルバージョンが収録されてないんだ。これは残念。確かに毛色が違ってるから仕方ないですが、ちょっと期待はずれでした。ううん、どこに入ってるんだろう。シングルオンリーかな?