ジョン・サイモン『John Simon's Album』

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70年リリースのこのアルバムもしばらく中古盤の棚にあってずっと気になっていたものです。今回年度末のタイムセールで遂に手を出してしまいました。

ザ・バンドの1st、2ndを好きなら自然と耳に入ってくるサウンドですね。渋いですが決して敷居は高くなく、ラグタイム風のピアノと相俟って温かく響いてくる音です。それこそ細野晴臣トリビュートアルバムで『蝶々さん』に参加しているくらいですから、音の質感は分かろうというもの。何となくキンクスRCA時代にも似た雰囲気がありますね。ヴァン・ダイク・パークスやハース・マルティネスにも似てるかなあ。あっ、この辺はみんなアメリカのルーツミュージックという点で同じですね。似るのは当たり前か。

結局はっぴいえんどから漂ってくる雰囲気もこの辺のものだったりするんですよね。ムーンライダーズの初期もそうですが、この辺は全部ザ・バンドで繋がっている。そういう意味ではジョン・サイモンはオリジネイターの裏方な訳ですが、立ち位置がそれこそ細野晴臣と似ていると思います。『HOSONO HOUSE』や大滝詠一の作品に触れていけばごく自然にここには辿り着いてしまうんです。アクが足りない分通り過ぎていってしまう危険性も孕む音楽ですが、注意深く聴けば共通点はすぐに見出せるし、何より今まで聴いてきた音楽のほぼルーツに位置する音なので、染み出てくる魅力にしばし思いを馳せることにしたいと思います。これもスルメもんだな。